志望校調査で、何も書かず提出した理系コースの生徒(2年生)との面談/回答のご紹介

2月発行号(Vol.421)のテーマ:志望校調査で、何も書かず提出した理系コースの生徒(2年生)との面談
志望校調査で何も書いてこなかった生徒に声をかける。

<やりとり>
教師:志望校を何も書いていなかったけど、どうしたかな?
生徒:なんか、今一つ、ここに行きたいという学校や学部がなくて・・・。
教師:前は、○○大学の×学部を目指してみたいというような話をしていたよね。
生徒:う~ん、皆が結構そこを第一志望にしていたから、そんなもんかなと思っていたんだけど。
   親も、そこがいいよって言っていたし。
   だけど、最近思うんだけど、そもそも、数学とか物理とか、あんまり好きじゃないなあって・・・。

① このようなケースで行う・行った最善の展開は、どのようなものでしょうか?
② 逆に、最悪の展開は、どのような対応だと思いますか?
③ ②のような対応にならないためのポイントは、どんなことだと思いますか?①と②の大きな違いは何でしょうか。


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① 今の状態でも学習意欲がそがれていないかどうかを確認する。
 (そがれている場合)
  「目標が決まらなければ何もしないということに問題はないだろうか」と問いかける。
  「将来やりたくないことは何か(補集合の明確化)」を訊いてみる。
  「勉強をしながら将来について考える」ということは大事なことだと伝える。
 (そがれていない場合)
  「今はそのままでいいけれども、将来のことについて考える努力をしよう」と伝える。
  第一志望と考えていた大学のホームページを一緒に見ながら、学部、学科、研究室を探訪し、
  関心を寄せる姿が垣間見られたら、大学訪問や研究室への訪問を促してみる。
② 結論ありきの指導は、どんなテーマにおいても「最悪」でしょう。
  教員自身が上司からそのようにされればやる気を失うだろうと思われるスタンスで生徒に接すれば、うまくいくはずがありません。
  「今頃、まだそんなことで迷っているのか」
  「その大学に受かった先輩は、この時期すでに英数が偏差値60はあったぞ。四の五の言わずにとにかくやれ」
  逆に、
  「数学や物理が嫌いなら、文系にしたら」 というのが想定される最悪の展開でしょう。
③ 「生徒中心の指導」という言葉を聞くと、違うなと思います。
  中心は、生徒と教師の間にあるのであって、その中心を中心にして「展開」していくのが学校空間です。
  教師中心がおかしいのは今の時代は認知されれていますが、
  それに対置する「生徒中心」というのも同じように問題があるのではないかと考えます。
  役者と演出家とで芝居を作り上げる時、役者は演出家の指示に従っているやうに見えて、
  じつは役者の演技の照り返しを受けて演出家の意図はより明確になっていくものです。
  そのとき、演出家は役者の見えざる「指示」を受けていることになる。
  まさに教室空間や学校空間は、生徒と教師との間にある「理想」を巡って
  互いに影響を受けつつ「教育」を作り上げていくものであると考えています。
  したがって、1にはその意識があり、2にはそれが無いということだろうと思います。
                               (愛知県・匿名)

① 「行きたい大学が決まらなくて困っているんだね。」
  「どうすれば決められるのか?一緒に考えよう。」
  ※質問をして内省を深め、~したいという内的動機につなげる。
② 「○○大学を目指すと言ったじゃないか。一度決めたんだからそこにしなさい。」
   指示命令をする。
③ 1は~したいというような内的動悸につなげる、2は~しなければならないという外的動機につながる。
                               (静岡県・山口権治先生)


いかがでしたでしょうか。 この連載では読者の先生方のご回答と、実際のお悩み例をとりあげていきます。
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